こんにちは!「牛たん専門店 徳茂」の店長をしてます佐藤です!
「仙台の牛たん定食についているあの辛い味噌って何?」「なぜ牛たんについてくるの?」というご質問をいただくことがあります。
仙台の牛たん定食の多くには、辛い味噌が添えられています。
これは「南蛮味噌」と呼ばれるもの。
牛たんの味を引き立てる名脇役として欠かせない存在なんです。
今回は、牛たん定食に欠かせない南蛮味噌の正体や、なぜ牛たんに添えられるようになったのか、そしてそんな南蛮味噌のほかの楽しみ方について詳しくご紹介します。
南蛮味噌がお好きな方も、初めて知った方も、ぜひ最後までお読みください!
目次
牛たんの辛い付け合わせ「南蛮味噌」とは?
牛たん定食に添えられる「南蛮味噌」は、青唐辛子を味噌に漬け込んだ辛味調味料です。
青唐辛子のピリッとした辛さと味噌の深い風味が特徴で、「唐辛子味噌」や「青唐辛子の南蛮漬け」などとも呼ばれています。
「南蛮」とはもともと、ポルトガルやスペインなどの人やその文化を指す言葉でした。
その「南蛮からもたらされた唐辛子」が日本で「南蛮」と呼ばれるようになり、やがて料理名にも使われるようになったのです。
南蛮味噌の発祥
南蛮味噌は東北地方で広く親しまれてきた調味料で、青森県が発祥といわれています。
東北各地域では、その土地の気候や風土に合わせた独自の南蛮味噌が作られてきました。
青森県では青唐辛子をもろみに漬け込み発酵させたものを「南蛮味噌」と、福島県では青唐辛子を麹や醤油、砂糖で漬けたものを「南蛮麹漬け」と呼びます。
また、新潟県では赤唐辛子を使った南蛮味噌が主流です。
このように、南蛮味噌は地域によって異なる材料や作り方で、現代に受け継がれてきています。
南蛮味噌の作り方
南蛮味噌はご家庭でも簡単に作ることができます!
青唐辛子を水洗いしてヘタと茎の部分を取り除き、塩(小さじ1程度)と一緒にポリ袋に入れて振り混ぜてなじませます。
半日以上冷蔵庫で寝かせたあと、青唐辛子を水洗いして塩を洗い流し、水気を拭き取ったあと、密封できる保存袋で合わせ調味料に漬け込みます。
合わせ調味料は味噌大さじ2に対してみりん小さじ1程度です。
先に青唐辛子を小口切りに刻んでから合わせ調味料と炒める作り方もお手軽です。
合わせ調味料は好みに合わせて砂糖や酒、いりごまなどを加えてもおいしいですよ。
青唐辛子は手で触るとヒリヒリすることがありますので、調理の際はビニール手袋の着用をおすすめします。
牛たんに南蛮味噌がつくのはなぜ?
牛たん定食に南蛮味噌が添えられている理由は、味の相性の良さにあります。
牛たんは脂がのっていて旨味の強い部位のため、食べ進めるうちにその脂っこさが口に残ってしまうこともあります。
そこで活躍するのが南蛮味噌です。
南蛮味噌のピリッとした辛味と深い旨味は、牛たんの脂をさっぱりと中和し、次のひと口をよりおいしく感じさせてくれます。
さらに、南蛮味噌は牛たん定食の定番である麦ご飯との相性も抜群。
濃い味付けがご飯を進ませ、食事全体の満足感を高めてくれます。
このように、南蛮味噌は牛たんと麦ご飯、どちらの味も引き立ててくれる名脇役なのです。
牛たんの歴史と南蛮味噌
牛たん料理が日本で普及し始めたのは、1948年の戦後間もない頃。
当時、仙台に駐留していたアメリカ軍が残した牛肉のたんとテールを有効活用するために、「太助」(後の味太助)の初代店主・佐野啓四郎が牛たん専門店を開いたのが始まりとされています。
この初代店主は、故郷の山形県の郷土料理である南蛮味噌を、牛たんの付け合わせとして取り入れました。
これが、現在の牛たん定食の原型になったといわれています。
戦後間もないこの時代は、冷蔵庫も普及しておらず、食糧事情も厳しいものでした。
そうした背景から生野菜の代わりに漬物を添える、米を麦ご飯にする、テールスープで牛を無駄なく活用するといった工夫がなされました。
牛たんに南蛮味噌や浅漬け、麦ご飯、テールスープを添えるスタイルは、このように確立されていったのです。
今でも、この組み合わせは仙台牛たん定食の定番として親しまれ、多くの牛たん専門店で提供されています。
牛たん以外にも!南蛮味噌の楽しみ方
南蛮味噌は牛たんとの相性が抜群ですが、実はそれ以外にもさまざまな楽しみ方があります。
家庭でも手軽に取り入れられる南蛮味噌の活用法をご紹介します。
卵かけご飯に辛味をプラス
卵かけご飯に南蛮味噌を少量加えるだけで、味わいが格段にアップ!
南蛮味噌の塩気と辛味が、卵のとろりとした黄身と絶妙に組み合わさり、最高の一品になります。
手軽に作れるので、朝食やランチにいかがでしょうか?
冷奴のアクセントに
冷奴に南蛮味噌をトッピングするのもおすすめです。
冷たい豆腐にピリッと辛い南蛮味噌が良く合い、一気に本格的な一品に変身します。
冷奴と南蛮味噌の組み合わせでご飯も進み、夏の副菜やお酒のおつまみにもぴったりです。
きゅうりを簡単おつまみに
きゅうりを食べやすい大きさに切り、味噌やマヨネーズをつける代わりに南蛮味噌を使うと、お酒も進みます。
きゅうりのシャキシャキとした食感と南蛮味噌の辛みが絶妙で、おつまみや箸休めにおすすめです。
焼きおにぎりに塗って
南蛮味噌をおにぎりの表面に塗って焼くと、「南蛮味噌焼きおにぎり」のできあがり。
青唐辛子のピリッとした辛さと焼いた味噌の香ばしさが相まって、クセになる味わいを楽しめます。
焼きおにぎりは手軽に作れて、おやつや軽食にもなる便利な一品です。
南蛮味噌は少量でも風味が強いので、さまざまな料理のアクセントとして活用できます。
東北の知恵が詰まった伝統的な調味料「南蛮味噌」を、ぜひ日常の食卓に取り入れてみてください。
牛たんと南蛮味噌は相性抜群!味を引き立てる辛味が魅力
牛たん定食に添えられる南蛮味噌は、青唐辛子を味噌に漬けた東北地方の伝統的な調味料です。
戦後の食糧難の時代に牛たん料理の生みの親である「味太助」の初代店主が付け合わせとして取り入れたことがきっかけで、牛たん定食の定番となりました。
南蛮味噌の辛さは、牛たんの脂をさっぱりとさせ、次のひと口をよりおいしく感じさせてくれます。
牛たん定食定番の麦ご飯とも相性抜群で、ご飯がさらに進みますよ!
また牛たん以外にも、卵かけご飯や冷奴、きゅうり、焼きおにぎりなどさまざまな食べ方で楽しむことができます。
自宅でも簡単に作れる南蛮味噌は、一度食べるとやみつきになる奥深い味わいを持っています。
牛たんと一緒に、ぜひこの名脇役「南蛮味噌」の魅力も堪能してみてください!